Crevaleathco(クレバレスコ)の『ミュージアムコードバン L字ジップハーフマルチウォレット』をご試供いただきました。
本ページでは使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
スペック
ブランド | Crevaleathco(クレバレスコ) |
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商品名 | ミュージアムコードバン L字ジップハーフマルチウォレット |
収納力 | ★★☆☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 10枚 |
カードの枚数 | 4〜7枚 | サイズ | W109×H89×D15mm | 重さ | 72g |
素材 | ロカド社 コードバン |
カタチ、構造
本作は「ミニL字ファスナー財布」にカテゴライズされます。コンパクトで片手で持てるサイズ感です。
外装はイタリア ロカド社のコードバン(詳細は後述)。
ファスナーはYKK最高峰のエクセラ。金属が磨かれており、安価な革製品に使われるファスナーと比べて、見た目も耐久性も優れています。
ファスナーの引き手もコードバンで作られています。このパーツだけ見ても最高品質であることがわかります。中に素材を詰めて、立体的なフォルムに仕立てています。
かっちりと硬く、たわみにくい。掴みやすくて、スムーズにファスナーを動かすことができます。つまり、美観だけでなく使い勝手にも優れます。こういった引き手が少ないのは製作が難しく、時間もかかるからです(安価な財布では採用できない)。
さて、ミニL字ファスナー財布は、各ブランドから出ているメジャーな財布ですが、本作は既存のものとは構造や使い勝手が違います。
まずは形。本体が2分割されています。このデザインによって、一般的なミニL字ファスナーと比べ、薄いフォルムを実現しています。わずか15mmほどです。
クレバレスコのL字ジップハーフウォレットと比べても、本作の方が薄いです。
内部のデザインも独特です。収納しても膨らみにくい構造のため、ジャケットの内ポケットに収納したい人には最適かと思います。
使い勝手
カード
両サイドのスペースが見やすくて、出し入れしやすいです。
片面にカード4〜5枚ほど入ります。
中央のポケットは3層に分かれていて、両サイドに1枚ずつ入れることができます。
ただ、こちらのポケットにカードを収納すると中央のポケットが開きにくくなります。後述しますが、コインを収納できるスペースとなりますので、小銭を使うならカードを入れない方が使いやすいと感じます。
お札
お札は10枚ほど入ります。3万円ほどを持ち運びたいなら十分です。
お札を差し込むイメージ。中央のポケットは低いため、お札が見やすく、つかみやすいです。
コイン
中央のポケットは小銭が見やすいのですが、コインの出し入れはしやすいとは言えません。また、たくさん収納することはできません(10枚入れるときつい)。お札を使って小銭が出てしまった時に、収納するスペースがあるという程度に考えた方が良いです。
マチを無くしてコインを挟み込むフォルムにすることで、財布全体がスリムになるようにデザインされています。薄さと小銭の使いやすさはトレードオフであり、本作は薄さを重視した財布と言えるでしょう。つまり、カードでの支払いがメイン(現金をあまり使わない)の人、スリムに携帯したい人にフィットする財布です。
なお、クレバレスコはコインも使いやすい「L字ジップハーフウォレット」もラインナップしています。現金をよく使うならそちらを選んだ方が満足度が高いかと思います。レビュー掲載していますので参考にしてみてください。
素材
ロカド社コードバン
イタリア ロカド社のコードバンです。
ロカドは複数種のコードバンを作っていますが、本作は「ミュージアム」というモデル。濃淡を楽しめる素材です。写真のカラーはボルドー。表情豊かで高級感があります。
コードバンらしい光沢も、もちろん楽しめます。
珍しいコードバンのため、人と被りにくいのもポイントが高いですね。
国産牛革
内装には国産の牛革が使われています。キメが細かく、サラリとした手触りです。
オーダーについて
本作は革とファスナーの色を選んでのカスタムオーダーができます。
外装のミュージアムコードバンは4色から。
内装の国産牛革は5色から選ぶことができます。
エイジングはコニャックが最も楽しめるかと思います。
クオリティ
これまでに200以上の革製品を使用してきました。それらと比べて本作はトップクラスのクオリティです。美しさ、耐久性、細部のこだわりなど、最高品質です。
耐久性
ほとんどの薄い財布は、耐久性が高くありません。外装やポケットなどのパーツに、薄い一枚の革を使っているからです。
では本作はどうかというと、薄さだけを追求しているわけではなく、長く使えるように仕立てられています。
適度な厚みがあり、革と革の間(見えない部分)に、耐久性を高めるための素材が詰め込まれています。技術も手間も必要となるため、量産品では採用されない技法です。
コバ
革の断面(コバ)は、黒く染められています。艶は控えめでマットです。
革が複数重なるコバを、革の断層がわからないほどに、滑らかに仕上げるには多くの時間と技術を注ぎ込む必要があります。安価な財布や量産品ではではありえない作り込みです。
面取りされており、角が立っていないため、つるりとしています。手触りの良さもトップクラスです。
ファスナーの引き手のコバを綺麗に仕上げるには大変手間がかかります。小さなパーツでも、細部まで美しさが追求されていることがわかります。
ステッチ
ピッチは細かく、クラフト感は控えめで、洗練された印象。
ステッチラインがとにかく美しい。斜めに並ぶ糸目は手縫いの醍醐味ですね。
ミシンでは難しい返し縫いも、綺麗に糸目が並ぶように縫われています。
捻引き(ねんびき)
革のフチにラインが引かれています。これを捻引き(ねんびき)と言います。カーブも綺麗に引かれています。全体的にキリッと締まる高級感が生まれます。
あとがき
現金をあまり使わず、カードやキャッシュレス決済が多い。スリムに快適に携帯したい人が満足できる財布です。
品質も極めて高い。最高級の珍しいコードバン、耐久性、コバの美しさ、そして手縫いによる美しいステッチワーク。全てにおいて高品質で高級感もあるため、満足感もダントツです。